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2026-07-08

歯が「しみる」と「痛い」その違いについてわかることについて歯科医師がわかりやすく解説

「歯がしみる」と「歯が痛む」。どちらもよくあるお口のトラブルですが、実はこの2つの症状、歯のSOSサインとしては全くの別物です。

あなたが今感じている不快感は、一時的なもの(冷たいものでキーンとする)でしょうか?それとも、何もしていなくてもズキズキと疼く(うずく)ような痛みでしょうか?

この「しみる」と「痛む」の違いを正しく理解することは、手遅れになって歯の神経を失ったり、最悪の場合、歯を抜かなければならなくなったりするリスクを防ぐための第一歩です。

今回は、歯科医師の視点から、「しみる」と「痛む」の決定的な違い、それぞれの原因、そして放置するとどうなるのかを徹底的に解説します。ご自身の症状と照らし合わせながら、ぜひ最後まで読んでみてください。

1. 【結論】「しみる」と「痛む」の決定的な違いとは?

まず結論からお伝えすると、この2つの違いは「刺激が必要かどうか」、そして「歯のどの組織でトラブルが起きているか」にあります。

  • 「しみる」: 冷たいもの、熱いもの、甘いもの、あるいはブラッシングなどの「外部からの刺激」があったときだけ、一時的にキーンと鋭く感じる症状です。刺激がなくなれば、数十秒から数分で治まります。

  • 「痛む」: 外部からの刺激がなくても、何もしていないのにズキズキと疼く(自発痛)、あるいは食べ物を噛んだときに強く痛む症状です。痛みが持続し、市販の鎮痛剤(痛み止め)が手放せなくなることもあります。

この違いを理解するために、まずは歯の構造を簡単に説明します。

歯は外側から順に、以下の3つの層でできています。

  1. エナメル質(外層): 体の中で最も硬い組織で、神経はありません。

  2. 象牙質(中層): エナメル質の内側にあり、無数の細い管(象牙細管)が神経へと繋がっています。ここが露出すると「しみる」原因になります。

  3. 歯髄(中心部): いわゆる「歯の神経」です。血管や神経が通っており、ここに炎症が及ぶと激しい「痛み」に変わります。

つまり、「しみる」は中層の象牙質からのSOSであり、「痛む」は中心部の歯髄(神経)や、さらにその奥の組織からの深刻なSOSなのです。

2. 歯が「しみる」ときの主な原因とメカニズム

まずは、比較的多くの人が経験する「しみる(知覚過敏など)」の症状について、なぜそれが起こるのか、4つの主な原因を見ていきましょう。

原因①:知覚過敏(象牙質知覚過敏)

「しみる」の代名詞とも言えるのが知覚過敏です。

何らかの理由で、歯の表面を覆っている硬いエナメル質が削れたり、歯茎が下がったりすることで、内側の「象牙質」が剥き出し(露出)になってしまうことで起こります。

象牙質には、神経へと続くミクロの管が通っているため、冷たい水や風、歯ブラシの毛先が触れると、ダイレクトに神経へ刺激が伝わり、「キーン!」としみるのです。

エナメル質が削れたり歯茎が下がったりする背景には、次のような日常の習慣が潜んでいます。

  • 力を入れすぎたゴシゴシ磨き(過度なブラッシング圧)

  • 歯ぎしりや食いしばりによる、歯の根元への過度な負担

  • 加齢や歯周病による歯茎の後退

原因②:初期〜中等度の虫歯(C1〜C2レベル)

虫歯菌が放出する酸によって歯が溶かされ、エナメル質を突き破って「象牙質」まで達すると、冷たいものや甘いものがしみるようになります。

この段階では、まだ神経(歯髄)まで虫歯は達していません。そのため、冷たい水を飲んだ瞬間に「一瞬しみるけれど、すぐ治まる」という特徴があります。

原因③:歯が欠けた、微小なヒビ(マイクロクラック)

転倒して歯をぶつけた、あるいは硬いものを噛んだ拍子に歯が欠けたり、目に見えないほどの小さなヒビが入ったりすることがあります。

その割れ目から、冷たい水や空気が象牙質、あるいは神経の近くまで入り込むため、特定の歯がピンポイントでしみるようになります。

原因④:ホワイトニングなどの治療直後

歯科医院やホームホワイトニングで歯を白くしている最中やその直後は、一時的に歯の表面の保護膜(ペリクル)が剥がれるため、知覚過敏が起きやすくなります。これは通常、数日から1週間ほどで自然に落ち着く一過性のものです。

3. 歯が「痛む」ときの主な原因とメカニズム

一方で、不快感が「しみる」を通り越して「痛む」に変わった場合、事態はかなり深刻です。神経の炎症や、歯を支える骨のトラブルが疑われます。

原因①:重度の虫歯(C3レベル:歯髄炎)

象牙質で食い止められなかった虫歯が、ついに中心部の「歯髄(神経)」まで到達した状態です。

神経に細菌が感染すると、激しい炎症(歯髄炎・しずいえん)を起こします。神経の部屋(歯髄腔)は硬い歯に囲まれているため、炎症で腫れ上がると内部の圧力が急上昇し、激痛を伴います。

  • 何もしていなくてもズキズキ痛む(自発痛)

  • 夜、お風呂に入って血行が良くなったり、布団に入ったりすると痛みが激化する

  • 冷たいものだけでなく、「熱いもの」でも激しく痛む

熱いもので痛むのは、炎症がかなり進行している証拠です。

原因②:神経が死んだ後のトラブル(根尖性歯周炎)

重度の虫歯をさらに放置すると、ある日突然、痛みが消えることがあります。これは治ったわけではなく、激しい痛みの末に神経が完全に死んでしまった(壊死した)状態です。

しかし、物語はここで終わりません。死んだ神経をそのままにしておくと、腐敗した神経のカスや細菌が、歯の根っこの先(根尖・こんせん)から外へと漏れ出します。そして、歯を支えているアゴの骨の中で炎症(根尖性歯周炎)を起こします。

  • 歯の根元の歯茎がぷっくり腫れる、膿(うみ)が出る

  • 歯が浮いたような感じがする

  • 食べ物を噛む(圧力がかかる)と激痛が走る

原因③:重度の歯周病(歯周炎)

虫歯が「歯そのもの」の病気であるのに対し、歯周病は「歯を支える骨や歯茎」の病気です。

歯周病が進行すると、歯の周りに深い「歯周ポケット」ができ、そこに大量の細菌が繁殖します。これが急性化すると、歯茎が真っ赤に腫れ上がり、触らなくてもズキズキと激しく痛むようになります。また、噛んだときの痛みも特徴です。

原因④:歯の根元のひび割れ(歯根破折)

過去に神経を抜いて脆(もろ)くなった歯や、強い食いしばりがある人は、歯の根っこ(根管)が縦にピキッと割れてしまうことがあります。

割れた隙間から細菌が侵入し、周囲の組織が猛烈な炎症を起こすため、噛むたびに激痛が走ります。残念ながら、歯の根っこが真っ二つに割れてしまった場合、多くのケースで「抜歯(歯を抜くこと)」が必要になります。

4. 症状別チェックシート:あなたのSOSはどっち?

自分の症状が「しみる」なのか「痛む」なのか、以下のチェックシートで確認してみましょう。どちらに多くチェックがつくかで、危険度と緊急度が分かります。

症状の特徴「しみる」グループ(象牙質のSOS)「痛む」グループ(神経・骨のSOS)
トリガー(きっかけ)冷たい水、風、甘いもの、歯ブラシ何もしなくても、熱いもの、噛んだとき
持続時間刺激がなくなれば、数秒〜数分で消えるずっとズキズキしている、数時間続く
痛みの性質キーン、ピリッとする鋭い感覚ズキズキ、ドクドクと拍動するような重い痛み
夜間の症状特に変わらない布団に入ると痛みが強くなる
市販の痛み止めの効果あまり必要としない(使っても意味が薄い)痛み止めを飲まないと耐えられない
主な疑い知覚過敏、初期の虫歯進行した虫歯(歯髄炎)、根の先の炎症

5. 【危険】放置するとどうなる?「痛みが消えた」って実は怖い

多くの人がやってしまいがちな、最も危険なパターンがこれです。

「ものすごく痛かったのに、数日我慢したら痛みが消えたから、治ったと思って放置した」

前述の通り、これは治ったのではなく、歯の神経が死んで感覚が麻痺しただけです。

痛みが消えた後、水面下で細菌は増殖を続け、アゴの骨を溶かしていきます。さらに放置すると、以下のような恐ろしい事態を招くリスクがあります。

  1. 顔全体が腫れ上がる(顎骨骨髄炎など): 細菌がアゴの骨全体、さらには顔の隙間を通って首のあたりまで広がり、顔が大きく変形するほど腫れ上がることがあります。最悪の場合、呼吸困難に陥ることもあります。

  2. 全身疾患への波及(心内膜炎など): 歯の根っこから侵入した血管を通じて、細菌が全身の血液を巡ります。これが心臓の弁に付着すると「感染性心内膜炎」という命に関わる病気を引き起こしたり、敗血症の原因になったりすることがあります。

  3. 治療の選択肢が「抜歯」しかなくなる: 早期に治療すれば、神経を残したり、根っこの治療(根管治療)で歯を残したりできます。しかし、骨までボロボロに溶かされてしまった歯は、残すことができず抜くしかなくなります。

6. 自宅での応急処置と、絶対にやってはいけないNG行為

「どうしても今すぐ歯医者に行けない!」という夜間や休日のために、一時的な応急処置と、絶対にやってはいけないNG行為をまとめました。

正しい応急処置

  • 市販の鎮痛剤(ロキソニンやイブなど)を飲む: 「痛む」症状には有効です。用法用量を守って服用してください。ただし、あくまで一時しのぎです。

  • 患部を外側から冷やす: 頬の上から冷えピタを貼る、濡れタオルを当てるなどして、血流を緩やかにすると痛みが和らぎます。(※氷を直接口に含むなど、冷やしすぎは逆効果になることがあります)

  • ぬるま湯で優しくうがいをする: 食べカスが詰まって圧迫している場合があるため、ぬるま湯でゆすいで取り除きます。

絶対にやってはいけないNG行為

  • 患部を直接いじる、突っつく: 爪楊枝などで触ると、細菌をさらに奥へ押し込んだり、組織を傷つけたりして悪化します。

  • お風呂で湯船に浸かる、激しい運動をする: 血行が良くなると、神経の圧迫が強くなり、痛みが劇的に増します。シャワー程度にとどめましょう。

  • お酒(アルコール)を飲む: 「アルコールで麻痺させよう」とするのは大間違いです。血行が良くなり、薬の効果も乱れるため、激痛で夜眠れなくなります。

7. まとめ:大切な歯を守るために

「歯がしみる」と「歯が痛む」の違いについて、深く掘り下げて解説してきました。

  • 「しみる」= エナメル質が薄くなり、象牙質が露出しているサイン(黄色信号)

  • 「痛む」= 神経に炎症が起きている、または根の先や歯茎の骨が破壊されているサイン(赤信号)

どちらの症状であっても、人間の永久歯は一度失うと二度と再生することはありません。特に「痛む」のを我慢したり、市販の痛み止めで誤魔化し続けたりすることは、自ら歯の寿命を縮める行為です。

「少ししみるだけだから…」とためらわず、不快感がある時点で速やかに信頼できる歯科医に相談しましょう。早期発見・早期治療こそが、一生自分の歯でおいしく食事を楽しむための、唯一にして最大の秘訣です。

東京日本橋クレア歯科・矯正歯科では、保険治療も対応しております。虫歯などについて、詳しく検査し、わかりやすい説明を心がけています。ぜひお気軽にご相談ください。

【医院情報】

東京日本橋クレア歯科・矯正歯科

Tokyo Nihombashi Clair Dental & Orthodontics

住所:〒103-0024

東京都中央区日本橋小舟町8番 14号日本橋三越前アムフラット壱番館1階

電話番号:03-6661-6604

FAX:03-6661-6605

アクセス:東京メトロ 銀座線・半蔵門線三越前駅 徒歩5分

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